電車に乗っていても自動車を運転するときでも、必ずと言っていいほど遭遇の機会があるトンネルに、
私たちは恩恵を受けています。
しかしトンネル工事はどのように行われるのでしょうか?
トンネル工事の種類について見ていきましょう。
1.山岳工法
以前は山岳部のみに使われていた方法ですが、今は都市部のトンネルにも使用されます。
本来は山岳における屈強な岩盤を掘削するやり方です。
まずダイナマイトで発破を行うかマシンで掘り進めて、掘削した箇所がくずれないように支保工で土を支えます。
その周囲にコンクリートの壁を作ります。
トンネル先端部分では随時掘削をつづけ、その後ろで壁を作っては前にと掘り進めていくのです。
山岳工法での標準的工法は「NATM」という名前のヨーロッパから導入された方法で、
これはトンネル周囲の地山がトンネル自体を支える支保機能を利用した技術です。
ですが表面に亀裂や湧水が生じ地質にムラがあると、支保機能が崩壊する場合もありえます。
そのため表面をコンクリートで固め、ボルトを打ち込んでより深いところまでトンネルを一体化する必要もでてきます。
工事で利用する機械は、掘削機やダンプトラックなどで汎用重機を使用します。
高額のシールドマシンを使うシールド工法より価格を抑えることができます。
また山岳工法には「TBM工法」もあり、これは「トンネル・ボーリング・マシン」を略した言葉です。
まさにボーリングのようにトンネルを掘っていくのがこのマシンで、
強固な岩盤をスピーディーに掘削するために使われます。
2.シールド工法
シールドマシンという筒型のマシンで、土の中をゆっくりと掘削するやり方です。
前方の土砂を取り除きつつ、
掘った部分がくずれないように機械の内部でセグメント(トンネルの外壁となる鋼鉄または鉄筋コンクリート製部材)
を組み立てます。
地上から掘削することがないために、既設の地下構造物の下にも構築が可能ではありますが、
先述した通りコスト面では高くなってしまいます。
そして大変軟弱な地盤でもトンネル工事ができる便利な方法です。
しかし他の工法では任意の形にトンネルを掘ることが可能ですが、シールド工法のトンネルは、
筒状のシールドマシンで掘削するということからほぼ円形にかぎられます。
3.開削工法
地下鉄のトンネルの掘削方法の一つであり、オープンカット工法、またの名を露天掘りとも言います。
両側に鉄の杭を打ってその上にH型の鉄の桁をかけて鉄板をしき、
路面の交通に支障がないようにしてから地上で掘り進める方法です。
地下でも浅い場所のトンネル建設に利用され、都市トンネルの標準的な工事方法であり、
これまでは頻繁に用いられてきました。
しかし昨今は都市が過密化しており、かなり深いところを掘削する地下鉄トンネル建設などでは、
古くからのこの工法には限界があり、シールド工法が主体になっています。
4.沈埋工法
河口や湾など、比較的浅めの海底トンネルを掘る時に利用される工法です。
前もってトンネル構造物(巨大なコンクリート製の箱で沈埋函と呼ばれる)を製作し、
その箱を海底に並べて海底トンネルを作るプレハブ工法です。
地盤が弱く、大きな口径のトンネルを掘削するのが困難な場合に用いられます。
沈埋函を設置する位置には溝を掘っておき、その溝に入るように沈埋函を沈設し、
その後は土で覆ってトンネル工事を完了します。
山岳工法・シールド工法と比べるとトンネルは自由な形状にすることができます。
今回はトンネルの工法について紹介しましたが、
トンネルを建設する土地の状況によってそれぞれに適した工法が使用されることがわかりました。
今度トンネルを見かける機会があったら「ここはどんな工法で製作されたのだろう」
と思いを巡らせてみるのも楽しいかもしれません。