コンクリート補修では断面修復がよく行われます。
ひび割れなどの軽微な損耗と違って大きな劣化が生じているときに断面修復をしますが、
どのような工法が用いられているのでしょうか。
ここでは断面修復のコンクリート補修について全体像を紹介した上で、
よく利用されているモルタル注入工法の特徴を解説します。
・断面修復のコンクリート補修の工法
断面修復に用いられるコンクリート補修の工法は大きく分けると3つに分類できます。
左官工法、吹き付け工法、注入工法(充填工法)です。
断面修復ではコンクリートの劣化によって剥離や剥落、浮きやひび割れなどが発生した部分を除去し、
断面を補修するのが特徴です。
この3種類の違いは何なのでしょうか。
左官工法はモルタルなどの修復材を壊れている部分にコテなどで直接塗り付ける工法です。
型枠を設置せずに必要な部分に手作業で丁寧に修復材を塗り付けていきます。
コンクリート補修が必要な範囲が狭く、あちこちにあるような場合によく用いられる工法です。
天井でも柱でも床でも対応できるため汎用性が高いことも知られています。
吹き付け工法はモルタルなどを圧縮空気などによって吹き付けることにより施工する方法です。
吹き付け工法には湿式と乾式の2種類があり、乾式の方が施工可能な範囲も積み上げられる修復材の厚さも優れています。
湿式の方が小型の機械で吹き付けが可能なので狭いところにも向いていて、
出力も小さいことから細やかな作業をすることが可能です。
距離が離れていても施工できることから天井などの手が届かないところのコンクリート補修によく用いられています。
注入工法は型枠を使ってモルタルやコンクリートなどを流し込んで充填することで施工する工法です。
広い断面の修復でも対応できることに加え、型枠を使うので正確性の高い施工ができるのが特徴です。
重ね塗りをすることもできるため、分厚いコンクリートの補修をしたいときでも適用できます。
天井への施工には向いていませんが、壁や床の補修では一度に広範囲のコンクリート補修ができる点で
頻繁に用いられています。
・モルタル注入工法の特徴
断面修復の中でもは用いられるケースが多いのが特徴です。
注入工法にはコンクリート注入工法やプレパックド工法などもありますが、比較的断面が大きいときに使用されます。
規模が小さい断面修復の場合にはモルタル注入工法が手軽で施工スピードを上げやすく、
完成度も高く仕上げやすいことからよく選ばれます。
モルタルには種類が多数あるため、補修するコンクリートに合わせて適切なものを選ぶと仕上がりがよく、
施工性も高く、さらに耐久性も高められます。
修復材として用いられているモルタルは大きく分けるとセメントモルタル、ポリマーセメントモルタル、
ポリマーモルタルの3種類があります。
注入工法ではセメントモルタルかポリマーセメントモルタルを使用するのが一般的で、
ポリマーセメントモルタルの場合には比較的セメントの比率が高いものが選ばれています。
モルタル注入工法では流動性が高いセメントモルタルが施工しやすいのは事実です。
しかし、断面修復をした際には強度が問題になります。
強度が低い場合にはすぐに再度コンクリート補修をしなければならないリスクがあるため、
強度重視での実施が望ましいと言えます。
ポリマーを混合すると曲げや引っ張りなどに対する強度が向上します。
特に壁のコンクリート補修で型枠を使って厚く施工すると重力による負担が常にかかります。
それでも十分な寿命を持つようにするには強度の高いモルタルを充填することが大切です。
・まとめ
断面修復のコンクリート補修には3種類の工法がありますが、モルタル注入工法が頻繁に用いられています。
強度を重視してモルタルの種類を選ぶのが重要で、修復部の寿命に大きな影響があります。
コンクリート補修の施工を依頼するときにはモルタルの種類を確認しておくと安心です。